国民皆保険制度の良さが分かる映画

保険がないとどれだけ悲惨かが理解できる映画

日本は国民皆保険制度が敷かれていますが、アメリカを始めとする世界の多くの国、というよりも割合で見るとほとんどの国が、保険加入は任意となっています。
そのため、いざという時に保障がなく、悲惨な状況に陥ることがあるのです。

その様子を描いているのが、「Sicko」という映画で、ドキュメンタリー映画では世界的に有名なマイケル・ムーア監督が作っています。
これはアメリカの悲惨な状況を描いた内容で、救急車を呼んで病院に行ったら、保険会社から救急車を呼ぶ際には前もって連絡しないといけないと言われたり、保険の支払いが受けられないため病院から無理やり追い出されたりした人の実例を取り上げています。

日本にも同じような悲惨な状況を描いた映画があります。
1935年制作と古い映画なのですが、「東京の宿」というタイトルの映画では、医療費を払うことができず、家族が泥棒をしたり挙句の果てに売春をしたりして、何とか病院に通い薬を買うお金を工面するという内容です。
いかに貧しい人が医療費を支払うのに苦労するのかが分かって、身に沁みるような悲しい映画に仕上がっています。

保険の公的加入の意義を教えてくれる映画もある

こうした映画は、医療費というものが非常に高く、保険なしでは一般的な市民だと支払いが難しくなるということを教えてくれます。
しかし、健康な時には医療費のことなどを考えない傾向が強いですし、リスクを過小評価して保険なんていらないと考える人も多いのは事実です。

そこで、「一人息子」という映画は、公的な保険の意義や概念、そして、互いに社会の中では助け合うことが必要という精神を教えてくれています。
この映画では、自分の一人息子が苦労して働き稼いだお金を近所の子供の事故の治療費のために使うというストーリーが描かれています。
そこで、この息子は「困った時はお互い様ですよ。」という言葉を投げかけ、お互いに助け合うという心を持つことの大事さを強調しているのです。

国民皆保険制度の意味とは?

現在日本で実施されている国民皆保険制度とは、基本的にこの「お互い様」という精神から来ています。
すべての日本人もしくは居住者が公的な保険制度に加入して毎月保険料を支払いますが、その分医療費の負担は3割で良いという制度が国民皆保険制度です。

病気やけがをしなければ保険料が無駄になるような気もしますが、自分が支払っている保険料で誰かが助けられているわけです。
そして、自分が治療を必要とする時には、多額の医療費負担を周りの人の支払う保険料でまかなってもらうことができます。
こうした互助精神が国民皆保険制度の目的で、国民の誰もが貧富の差なく等しい医療を受けられるようにしてくれる制度なのです。